精神科医を目指す医大生の備忘録

精神科に興味あるけど、どうやって勉強したらいいかわからない。という悩みを解決するために医師国家試験を解説しつつ、勉強していくことにしました!一般の方でも解けちゃったりするので、ぜひともお付き合いくださいませ!

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114B21 統合失調症が疑われる発言

114B21

患者の発言で最も統合失調症が疑われるのはどれか。

a 「いつも自殺したいと考えています」
b 「自分の考えていることが周りの人に伝わってしまいます」
c 「映画を見ているような感じで、周囲の景色に実感がありません」
d 「汚くないとわかっていても何度も手を洗わないと気がすみません」
e 「検査で体に異常はないと言われたけれど、間違いなく癌だと思います」

 

一つ一つ見ていくと、

 

a 「いつも自殺したいと考えています」

→これは、うつ病や躁病の抑欝期に見られる希死念慮ですね。


b 「自分の考えていることが周りの人に伝わってしまいます」

→これは考想伝播(thought boradcasting)と呼ばれる症状で統合失調症に見られる所見ですね。

 

c 「映画を見ているような感じで、周囲の景色に実感がありません」

→これは、離人感(depersonalization)と呼ばれるものですね。統合失調症でも生じることがあるようですが、主にうつ病で生じるとされますね。。

 

d 「汚くないとわかっていても何度も手を洗わないと気がすみません」

→これは有名な強迫観念ですね。強迫観念のポイントは、自分でその行動が不合理でばかばかしいと分かっているけど、自分の意思に反して繰り返しやってしまい、その行動に対して不安や苦痛を感じるということですね。

 

e 「検査で体に異常はないと言われたけれど、間違いなく癌だと思います」

→これは心気妄想と言われる症状ですね。うつ病でみられる微小妄想(罪業妄想・貧困妄想・心気妄想)の一つです。

 

以上より、正解はbですね。

 

さて、今回の統合失調症は個人的にはとても関心のある病気です。

 

統合失調症とは、脳内のドパミン神経系などの脳機能の変調を基盤として、感情、思考、自我、知覚など様々な精神機能に異常をきたし、特有な症状が出現する病気です。

 

特徴的な症状としては、Schneiderの一級症状というものに挙げられている、幻聴・作為体験・妄想知覚などがありますね。

 

幻聴とは

幻聴は、「何もないところから音が聞こえてくる」というものですね。統合失調症に多い症状ですが、解離性障害というストレスに関連する疾患でも認めるようです。

 

この幻聴ですが、どうも悪口・暴言・罵倒といったマイナスの内容が多いようです。例えば、「死ね」「デブ」「アホ」などのような悪口です。こんな悪口が四六時中聞こえるなんて悪夢ですよね。

 

そして、幻聴は脳内で発生しているものなので、耳栓をしたり音楽をかけても意味がないそうです。ほんとうにつらいですよね。

 

最近映画された閉鎖病棟という映画で綾野剛さんが演じるチュウさんも幻聴に悩まされていましたよね。

www.youtube.com

 

作為体験

作為体験も統合失調症に特有で、他人によってさせられていると感じる症状ですね。させられ体験ともいいますね。

 

自分は実際に見たことが無いのでいまいちイメージがわかないのですが、本を読む限りは、「話の途中で患者さんが突然出口の方に向かっていった」。その理由を後で患者さんに聞くと「自分は行こうと思っていなかったけど、勝手に動かされた」と返事をするという感じのようです。

 

これもまた不思議な所見ですよね。どうして、このような症状が出るんでしょうね。

 

妄想

妄想は精神科ではすごい奥が深いですよね。妄想の定義は「明らかに誤った内容を強く確信していて、訂正不可能な思考」をさします。

 

この「訂正不可能」というのがポイントのようで、妄想の内容は明らかに不合理のことが多いのですが、本人は本気で信じているので、おかしいと自覚していないそうです。

 

例えば、「夫が浮気をしている」、「お金を盗まれた」とかでしょうか。

 

妄想はさらに「一次妄想」と「二次妄想」に分かれます。

「一次妄想」は統合失調症に見られる妄想ですが、「何の脈絡もなく発生する妄想です。」例えば、「自分は神の生まれ変わりだ」といった突飛な妄想でしょうか。

 

一次妄想はさらに「妄想気分」「妄想知覚」「妄想着想」の3つに分けられますね。

  • 妄想気分→何か恐ろしいことが起こりそうだと確信する
  • 妄想着想→自分は神の生まれ変わりだと考える
  • 妄想知覚→車が通りすぎた音に反応して、自分は銃で撃たれると感じる

といった感じでしょうか。どれも脈絡のない妄想ですので、傍から見たらとても不思議ですよね。なんでこうした妄想が生じるんでしょうねー。

 

二次妄想は、一次妄想と違って「妄想が発生した脈絡がわかる」ものです。

例えば、うつ病のときの微小妄想なんかがそうですね。うつ病で気分が落ち込んでいるときには、「自分は健康ではない」→「きっと病気だ」→「助からないほどの重い病気にかかっているに違いない」という負のループですね。

 

二次妄想は脈絡がある妄想なので、だれでも起こり得ることはありそうですよね。特に身近な人が脳梗塞で倒れた場合、自分も脳梗塞が不安になってとりあえず病院に駆け込むなんてことはよくありますよね。

 

 今回は妄想をメインに取り上げましたが、統合失調症は毎年出題される疾患なので、次回に検査や治療をまとめたいと思います。

 

 

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