逆耐性現象とは? 医師国家試験(2021年度)115F6
2021年度は2問も薬物依存関係の問題が出題されました!
こんばんわ
レモン🍋です。
今回は、前回に引き続き薬物依存に関する今年の医師国家試験問題を紹介します!
毎年400問の医師国家試験問題のうち精神科の占める割合は10~15問程度なので、そのうち2問も出題されたということは、
厚生労働省の全国の医学部生に向けた
「ちゃんと薬物依存の知識を身に付けておくように!」
というメッセージだと受け取れますね!
ここ1,2年で多数の芸能人が違法薬物使用で逮捕された社会情勢を反映しているのかもしれません(^^;)
逆耐性現象を示す薬剤はどれか?~115F6
では、早速問題にチャレンジしてみましょう!
115F6
115F6
逆耐性現象を示す精神病症状をきたすのはどれか。
a LSD
b 大麻
c アルコール
d ジアゼパム
e メタンフェタミン
正解(予想)はこちらをタップ
e
逆耐性現象って何?
違法薬物の依存のポイントは、
- 精神依存
- 身体依存
- 耐性形成
の3点です!
詳細は前回の記事を見ていただきたいのですが
精神依存は「欲しくてしょうがない状態」
一度、覚せい剤をやり始めると、「もっと欲しい」という心理状態になるのが精神依存です。
身体依存は「やめると離脱症状が出ること」
覚せい剤を始めると、不眠・不安・けいれんなどの離脱症状がみられるのでした。
耐性形成は、「酔うのに必要な量が増えていく」
医学的な「耐性」というのは、薬がだんだん効きにくくなることを表すのでした。
耐性とは、依存性薬物が効かなくなり、同じ効果を得るのに量を増やさないといけなくなること。
さて、この「耐性」の反対の意味の「逆耐性」ですが、
これは耐性の逆なので
使えば使うほど、少しの量で大きな効果が出る
という現象でしたね!
ただ、この逆耐性というのは、覚せい剤による幻覚(悪口が聞こえる)や妄想(誰かに狙われている気がする)などの負の精神症状のみに起こるのでした。
つまり、覚せい剤を使えば使うほど、幻覚や妄想症状がひどくなってしまうんでしたね(( ;∀;)
本当に覚せい剤は怖いですので、絶対にやらないようにしましょう!
逆耐性現象をきたす薬は?
逆耐性現象は
覚せい剤やコカインなど中枢神経を興奮させる薬
で見られます。
覚せい剤はアンフェタミンやメタンフェタミンと呼ばれる薬物で、神経間の伝達を担う物質である、カテコールアミンやセロトニンをたくさん出やすくしたり、また簡単に再吸収されないようにして、これらの伝達物質の効果が長引くように作用します。
コカインも覚せい剤とほぼ同様の効果があります。
国試問題115F6の解説
ということで、今回の問題の解説をしていきます!
ちなみに正答率が70%程度でした。
精神科は平易な問題が多く、大体正答率90%超えることが多いので、精神科問題にしては難問になるのかなーという印象です(^^;)
115F6
115F6
逆耐性現象を示す精神病症状をきたすのはどれか。
a LSD
b 大麻
c アルコール
d ジアゼパム
e メタンフェタミン
「逆耐性現象≒覚せい剤」と国家試験的には覚えておけば良いので
正解はeのメタンフェタミンですね!
※コカインに関しては、文献によって耐性のあるなしが分かれているので、国家試験には出されない気がします(^^;)
メタンフェタミンが覚せい剤と知らなければ解けないので、そこは頑張って覚えましょ(;^ω^)
ちなみに、今後はメタンフェタミンをアンフェタミンに変えて出題されるかもしれないので、医学生の方で余裕があれば、アンフェタミンも覚えておくかも良いですね!
誤った選択肢も見ていきたいと思います!
a LSD
「Lysergsäurediethylamid(リゼルグ酸ジエチルアミド)」の略称でLSD(エルエスディー)と呼ばれます。
LSDは、非常に強烈な幻覚剤だそうです。
LSD=幻覚剤と知らなければこの選択肢を選んでしまい、その結果正答率が下がったのかもしれないですね💦
b 大麻
マリファナとも呼ばれますね。
知覚異常が生じやすく、音が大きく聞こえたり、色彩が鮮明になったり、錯覚や幻覚が見えるというさようがあるそうです。
ちなみに、医師国家試験的には大麻には身体依存や耐性形成がない!
というのがポイントでしたね!
c アルコール
アルコールでは逆耐性現象はでません。
ただ、耐性形成はあるので、長期間大量の飲酒を継続していると、だんだん量が増えていく傾向になります。
アルコール依存は、非常に重要なテーマなのでまた別の機会にしっかり取り上げたいと思います!
ちなみに、アルコール依存の離脱症状に睡眠薬が効くという記事を以前書いたので良ければこちらも見てみてください(*'▽')
d ジアゼパム
ベンゾジアゼピン系の薬は、神経の興奮を抑えるGABA受容体の働きを活性化する薬で、一時期GABA含有のチョコレートがもてはやされましたね!
ベンゾジアゼピン系の薬は優れもので、
- 抗不安作用
- 睡眠作用
- 抗けいれん作用
- 筋弛緩作用
といった色んな効果があります。
ですので、精神科の薬でベンゾジアゼピン系の薬剤はよく登場します。
例えば、デパス、ワイパックス、セルシン、ハルシオン、サイレース、ロヒプノール
などがありますが、睡眠薬を処方してもらったことがある方ならどれか一つくらい聞いたことがあるかもしれませんね。
ちなみに今回のジアゼパムは、医師国家試験には頻出する薬で、けいれんの強い患者さんに救急医療の現場で投与したりしますね。
ただ、ジアゼパムには逆耐性現象はありませんので、今回の問題では誤りとなります!
ベンゾジアゼピン系の薬はたくさんの効果があって優れものではあるのですが、適切に使わなければ「眠気、ふらつき、転倒、身体依存・精神依存・呼吸抑制」などの副作用が出る怖い薬でもあります。
ですので、便利だからといって気軽に処方してはいけない薬となっています(^^;)
以上、最後までお読みいただきいただきありがとうございました!
2021年度のその他の医師国家試験の精神科問題も良ければご覧になってください!
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