精神科医を目指す医大生の備忘録

精神科に興味あるけど、どうやって勉強したらいいかわからない。という悩みを解決するために医師国家試験を解説しつつ、勉強していくことにしました!一般の方でも解けちゃったりするので、ぜひともお付き合いくださいませ!

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心療内科と精神科の違いって何? どっちに通ったら良いのか? などを調べてみました!

心療内科と精神科の違いって何?

 前から気になってたので調べてみました!

あけましておめでとうございます。

本年はいよいよ医学部6年生。

就職活動や卒業試験、年明けには医師国家試験があり、色々がんばらないといけない一年ですが、「心のゆとり」が一番大切だと思いますので、ほどほどに歩んでいきたいと思います。

 

さて、今回は個人的に前から気になっていた「精神科」と「心療内科」の違いについて調べてみました。

 

近年、心の病気を扱うクリニックも市民権を得て、街中にもずいぶん増えましたね。

ただ、それぞれのクリニックの標榜科が「精神科」、「心療内科」だけのクリニックもあれば、「心療内科・精神科」と併記されているクリニックもあります。

 

はたまたメンタルクリニックという名称を冠したクリニックもあります。それぞれって何が違うのでしょうか?

 

あなたが通うならどちらに通いたいですか?

簡単にツイッターでアンケートをとってみました。

総数が20ちょっとなので、あくまでもほんの一部の意見になるのですが、結果はやや心療内科がリードって感じですね。

 

みなさんなら、いかがでしょうか? 

 

個人的には、精神科志望なので「精神科」という表現に抵抗がないのですが、やはり自分も医学部入学前には「精神科」という響きに抵抗があったので、世間の方々の「精神科」と「心療内科」に対するイメージがそのまま反映された結果なのかもしれません。

 

心療内科と精神科の違いは?

医学的には精神科と診療科の違いは何なのでしょうか?

厚生労働省のサイトには以下のように記載されていました。

医療機関の選び方|医療や医療機関について|治療や生活に役立つ情報|みんなのメンタルヘルス総合サイト

 

精神科

精神科、神経科、精神神経科

「精神科」、「神経科」、「精神神経科」は同じものです。どれかが書いてある場合や、併記してある場合は、「うつ病」「統合失調症」「神経症性障害」などのこころの病気を診ている、精神科の医療機関と考えて間違いありません。

 精神科は直観的にもイメージしやすいと思いますが、「心の病気」をメインに扱っている診療科であることがわかりますね。

 

一方で、心療内科はと言いますと、

心療内科

心療内科」は心理的な要因で身体の症状(胃潰瘍、気管支ぜんそくなど)が現れる、いわゆる「心身症」を主な対象としています。

となっています。

つまり、心理的な要因で発症する体の病気を扱うことがメインとなっています。少しわかりにくいかもしれませんが、例えば「仕事の精神的なストレスが強くて胃の粘膜が障害されて胃潰瘍になる」なんかが当てはまりますね。

 

ここが驚きですね。私自身、以前の心療内科のイメージは、下のイラストのように「精神科全般+αの内科疾患」というイメージでした。

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以前の心療内科のイメージ

 

ところがどっこい、心療内科うつ病発達障害統合失調症といったいわゆる「心の病気」は守備範囲ではないようなんです。

 

実際に、日本心療内科学会の紹介リーフレットには、心療内科が扱う疾患として次のような記載がされていました。

心療内科で診る主な疾患

消化器系の心身症 . . .  機能性胃腸症, 過敏性腸症候群, 慢性膵炎など

 内分泌・代謝系の心身症 . . .  糖尿病, バセドウ病, 摂食障害など

 呼吸器系の心身症 . . . .気管支喘息, 慢性閉塞性肺疾患, 慢性咳嗽など

 神経・筋肉系の心身症 . . .  緊張型頭痛, 片頭痛, 痙性斜頸など

 循環器系の心身症 . . .  高血圧, 冠動脈疾患, 不整脈など

 自己免疫・アレルギー系の心身症 . . .  アトピー性皮膚炎, 慢性蕁麻疹, 関節リウマチなど

 その他の疾患 . . .  . 疼痛性障害, 慢性疲労症候群など

 

 

 

ちなみに、もうひとつややこしいのが神経内科ですね。

神経内科の説明は次のようなものです。

神経内科

神経内科」は、パーキンソン病脳梗塞、手足の麻痺や震えなど、脳や脊髄、神経、筋肉の病気を診る内科です。精神的な病気を主に診ているわけではありません。

 

神経内科は、脳梗塞パーキンソン病など、脳の病気をメインに扱う診療科だとわかりますね。

 

以上より、精神科、心療内科神経内科の三つの守備範囲を図式化すると次のようなイメージになるでしょうか?

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精神科・心療内科神経内科の守備範囲(イメージ)

ちなみに、近年メンタルクリニックなるものも登場していますが、これは精神科とほぼ同義だと思います。

精神科と心療内科を併記するのと同じ感じで、「メンタルクリニック」と併記した方が患者さんが通いやすいことが理由ではないでしょうか。

 

結局、精神科と心療内科どちらに通った方が良いのか?

通院前にホームページを確認するのが一番!

学会の定義に従って心療内科の守備範囲 を考えるなら、心療内科うつ病発達障害などの精神疾患は扱わないことになるので、精神疾患の診断・治療目的で通院するなら精神科を標榜しているクリニックに通院すべきだと思います。

 

とはいえ、現実には心療内科メインで標榜しているクリニックは少なく、「心療内科・精神科」と標榜しているクリニックが多いのではないでしょうか?

 

こういう場合はどうしたら良いのでしょうか?

 

併記しているケースでは、精神科の先生が、患者さんが通いやすいように「心療内科」と併記していることが多いように感じます。(実際、私も低学年時に精神科クリニックで受け付けバイトをさせていただいた経験がありますがそのクリニックは心療内科・精神科と併記していました。)

 

ですので、結論的には、通院するクリニックの「ホームページ」を見てどのような病気を診療しているか確認するというのが一番だと思います。

 

心療内科と併記していても、「うつ病発達障害などの診療をする」と記載されていれば問題ないと思います。

 

それでも不安な方は、開業医の先生の経歴を見ていただくと良いかと思います。その先生が「精神科専門医」を取得されていれば、精神科疾患の専門家ですので、安心して心の病気の相談ができると思います。

 

心療内科目的の場合は逆に要注意

逆に、ストレスでの胃潰瘍や喘息など「心療内科」の診療目的の場合は注意が必要です。

 

今回調べてみてはじめて知ったのですが、心療内科専門医は全国に120名程度しかいらっしゃらないようです(127名 平成25年8月現在:日本専門医制評価認定気候調べ)。

 

一方で、精神科専門医は全国に1万名以上いるので、約10倍程度いることになります。

 

つまり、心療内科・精神科と併記している場合は、実際は先程述べたように本当の専門は「精神医学」というケースが多いです。

 

ですので、内科クリニックで原因がわからなかった腹痛など、もし心療内科メインでかかりたいなら、「心療内科専門医」を取得されている先生のクリニックに通われた方が良いかもしれません。

 

もちろん、優秀な先生はどちらも診れる先生もいらっしゃるでしょうし、良心的な先生であれば、自分の専門外であれば別のクリニックを紹介してくださると思いますので、あくまでも一つの意見として受け止めて頂けるとありがたいです。

 

本当は、精神科クリニックに気兼ねなく通えるのが一番

今回調べて思ったのは、一般の方には「心療内科≒精神科」と思っている方が多い一方で、学会の提示した守備範囲では「心療内科≠精神科」となっているので、両者のギャップが存在する点ですね。

 

この原因は、最初にも述べたように「精神科」という言葉の響きにまだまだ負の印象があるからだと思います。

 

個人的には、気分が落ち込んで精神科クリニックに通うということは、風邪を引いて内科のクリニックに通院することと本質的には同じだと思っています。人生は長いですので、誰しも風邪を引いたりするように、心の病気なることもあると思います。風邪を引いたら薬に頼るので、心の病気になった時に一時的に薬に頼ることは自然なことだと思います。

 

現実はなかなか厳しかもしれないですが、もっと気軽に精神科クリニックに通えるようになれば、精神科・心療内科の併記問題も解消されるのかもしれないですね。

 

以上、長文お付き合いありがとうございました。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

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