夜寝れない時にずっと布団にいるのはダメ?~医師国家試験で学ぶ睡眠医学
不眠症は今や国民病!
今回は、医師国家試験でも時々出題される「睡眠」について医師国家試験を題材に解説させていただきます!
まず第108回の医師国家試験からの出題です。
医師国家試験第108回 H30
50歳の女性。不眠を主訴に来院した。寝床に入っても何時間たっても眠れないのがつらいと訴える。一方、ソファでテレビを見ているとウトウトすることがある。睡眠がとれた翌日は気分もよく趣味を楽しむことができる。
この患者への指導として適切なのはどれか。
a 「昼寝をしてください」
b 「寝床で本を読んでください」
c 「起床時間を遅くしてください」
d 「早めに寝床に入ってください」
e 「眠れない時は寝床から出てください」
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e 「眠れない時は寝床から出てください」
何日以上眠れない日が続くと不眠症?
- 長期間にわたり夜間の不眠が続き
- 日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下する
5人に1人が不眠という調査も
眠れない時に、頑張って寝ようとするのは逆効果?
さて、最初の問題の解説になるのですが、
e「眠れない時は寝床から出てください」
が正解になります。
これは意外に思われた方も多いのではないでしょうか?
実際、自分自身も
「眠れない時は、布団の中で眠気が来るのを待つ!」
というのが常識だと思っていたので(^^;)
布団の中で寝れないことが心理的プレッシャーに?
理由はいくつかあるようですが、1つ目は、
眠れないことを気にすると、交感神経優位になって、かえって目が冴える
というものです。
よく「自律神経を整える」なんて言葉を耳にするように、
人間の興奮とリラックスは自律神経の交感神経と副交感神経のバランスによって調整されています。
簡単に言えば、交感神経がアクセルで、副交感神経がブレーキに相当します。
交感神経は、緊張状態で活性化します。例えば興奮すると手汗が出ますが、あれは交感神経の働きですね。他にも怒っている人の瞳孔が開くのも交感神経の影響です。
睡眠をするためには、リラックスした状態である必要があるので、本来はブレーキ優位の副交感神経が働く状態にする必要があります。
しかし、「明日は大切な試験だきゃ寝ないと!」などと考えてしまうと、プレッシャーがかかって交感神経が活性化して余計に寝れなくなってしまうという訳です。
以上の理由から、眠れない時は布団から出て、リラックスするのが良いと言われています。
「布団=寝る場所」という意識付けを!
別の理由としては、「寝れない状態なのに布団に居続ける」ということを繰り返すうちに、「布団≠眠る場所」という誤った意識付けがなされてしまうといものです。
これは、エビデンスがしっかりあるわけではないので俗説にはなりますが、確かに寝れない時に布団の中でスマホをいじったりする習慣がつくと、睡眠週間には悪影響がありそうですよね。
他に睡眠に良くないことは?
先程の問題の間違い選択肢から、誤った睡眠週間を考えてみましょう。
a 「昼寝をしてください」
⇒当然ですが、不眠の人が昼寝をすると余計に夜寝れなくなりますよね。
b 「寝床で本を読んでください」
⇒「寝床で」というのが良くないですよね。布団の中では「睡眠」以外はしないようにして、「布団=寝る場所」という週間をつけましょう!
c 「起床時間を遅くしてください」とd 「早めに寝床に入ってください」
⇒これもダメですね。寝れない時は、「遅寝、早起き」が重要と言われています。
特に、太陽の光を浴びて、サーカディアンリズムをリセットするのが重要です!
似たような問題が繰り返し出題されています!
医師国家試験では、最初に示したような睡眠の問題が繰り返し出題されているので、最後にもう一問見てみましょう!
第114回C13
入眠困難を主訴とする不眠症の成人患者に対する指導として適切なのはどれか。a 「一定時刻に起床し日光を浴びましょう」
b 「可能な限り早い時刻に就床しましょう」
c 「就床前にアルコール飲料を飲むようにしましょう」
d 「一晩に8時間以上就床しているようにしましょう」
e 「就床後、入眠できない時はじっと眠気が来るのを待ちましょう」
これは去年の医師国家試験ですね。
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a 「一定時刻に起床し日光を浴びましょう」
「遅寝、早起きで日光を浴びる!」が重要でしたね!
誤った選択肢も見てみましょう。
b 「可能な限り早い時刻に就床しましょう」
⇒無理に早く寝る必要はないんでしたね。逆に無理に早く布団に入ってしまうと、「布団≠眠る場所」という誤った習慣がついてしまいます(^^;)
c 「就床前にアルコール飲料を飲むようにしましょう」
これも寝酒なんて言葉がありますが良くありません。
確かに、アルコールを飲んだ直後はリラックス(鎮静作用)できて入眠できることもあるようですが、アルコールが分解されてしまうとかえって覚醒作用が出て、夜中に目覚めてしまうなど睡眠の質低下につながります。
また寝る前にお酒を飲むということが習慣化すると、アルコール依存症にもつながる可能性があるので、そういった観点からも推奨されていません。
d 「一晩に8時間以上就床しているようにしましょう」
睡眠時間も〇時間以上という決まった時間はありませんね。
個人差がありますので、自分自身がしっかり休養できる睡眠時間をとりましょう。
短時間睡眠がもてはやされた時期もありますが、睡眠時間は短くても大丈夫な人もいれば、長めに寝ないといけない人もいます。
なので、「短時間睡眠=すばらしい」、「短時間睡眠=かっこいい」という風潮は医学的に望ましくないと思います(^^;)
最後に
e 「就床後、入眠できない時はじっと眠気が来るのを待ちましょう」
は、今回の記事のメインテーマで、「自信をもって✖ですね!」ですね!
睡眠の医師国家試験問題は他にも色々あるので、また別の機会に紹介できたらと思います!
以上、最後までお読みいただきありがとうございました!(^^)!
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