女性の方がうつ病になりやすいってご存知ですか?
女性の方が1.5倍程度うつ病になりやすい
最近読んでいた本に書いてあったのですが、実は女性の方がうつ病になりやすいそうです。
個人的には、「働き盛りの男性(責任世代)がうつ病になりやすい」というステレオタイプがあったのですが、実情は違うようです。
実際2017年の患者調査によると、
気分障害(躁うつ病含む)で入院する患者さんは男性18,000人に対して、女性は29,000人と1.6倍多くなっています。
また外来についても同様に、男性60,000人に対して、女性は81,000人と
1.35倍多くなっています。
なぜ女性の方がうつ病になりやすいのでしょうか?
その理由はいくつか挙げられますが、読んでいて本によると最も大きな理由は、女性は社会的な地位が弱く、ストレスが多いことにあると書かれていました。
また、妻、母と役割が変化すること、近所づきあいや親戚づきあいのほか、PTA関係など、気を使わなければならない人間関係が多岐にわたることも原因ではないかと記載されていました。
それ以外の理由としては、女性ホルモンの変化が関係しているとされます。
一生を通じて、妊娠・出産・閉経などホルモン分泌が変化するため、それに応じて精神面にも影響が及ぶからです。
産後うつの問題も医師国家試験にでている
一昨年の医師国家試験にも産後うつに関する問題が出題されています。
医師国家試験第113回 F63
34歳の女性(1妊1産)。産後2週の妊産婦健康診査を希望して、分娩した産科診療所に来院した。2週間前に第1子である3,150gの男児を経膣分娩した。来院時の体温36.5℃。脈拍80/分、整。血圧126/76mmHg。尿所見は蛋白(-)、糖(-)。内診で子宮復古に異常は認めず、悪露も正常であった。母乳哺育を行っているが、うまくできているかとても心配で毎日よく眠れない。育児は全く楽しくなく、ときに自分を傷つけたいとの思いが浮かぶという。日本語版エジンバラ産後うつ病質問票〈EPDS〉への自己記入の結果、合計点数は12点(基準8以下)であった。この時点の対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
a 抗精神病薬を処方する。
b 精神科への受診を提案する。
c 児と分離することを目的に入院させる。
d 本人の同意を得て市町村に患者情報を伝える。
e 母乳哺育を中止し人工乳哺育にするように指導する。
産後うつは次のように定義されます。
産後うつ病はおよそ10%の罹患率があり、気分の落ち込みや楽しみの喪失、自責感や自己評価の低下などを訴え、産後3か月以内に発症することが多いです。
マタニティブルーズが通常は1-2週間でおさまるのに対し、症状は2週間以上持続します。マタニティブルーズがあった女性は産後うつ病発症のリスクが高まると言われています。
発症の背景要因として、うつ病の既往の他、パートナーからのサポート不足など育児環境要因による影響も大きいとされています。妊娠中から不安やうつの問題がおこっている場合も少なくないため、妊娠中からケアを行う必要があります。
マタニティーブルーズは産後の女性であれば、誰しも起こり得る可能性がありますが、抑うつ症状が2週間以上続く場合は、問題中にも登場するエジンバラ産後うつ病質問票〈EPDS〉などでスクリーニングをして、患者さんが産後うつに移行していないかチェックする必要があります。
この問題の患者さんは、エジンバラ産後うつ病質問票で基準以上だったので産後うつが疑われるため、「精神科受診の提案」と「本人の同意を得て市町村の支援センターに連絡する」が正解になります。よって、bとdが正解になります。
私自身、 臨床実習で産後うつ患者さんの問診をさせていただいた経験がありますが、遠方から引っ越しされたばかりで、周りに頼れる人がいない方で、ただでさえ慣れない環境での新生活に加えて、生まれたばかりの赤ちゃんの子育てもあり本当に大変そうでした。
今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で出生率の低下が注目されていますが、どのような時代でも子供を産んで育てるということは本当に大変なことだと思います。
ですので、社会的なサポートがより充実することを願うばかりです。
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